日本で女性がチョコを贈る習慣はどう始まった? 日本料理と文化、和食を学ぶことに興味をお持ちのみなさん、日本のJapan Culinary Institute (JCI)からこんにちは! 今年もすでに2月に入りました。2月といえば、気になるイベントがありますね! 2月14日の定番イベント「恋人たちの日」こと、バレンタインデー。日本では2月に入ると街のあちこちで「チョコレート」が販売され、華やかなバレンタイン商戦が繰り広げられます。この時期、チョコレートを品定めするのは「女性」!そう、日本のバレンタインデーは「女性から男性へチョコレートを贈り、愛を告白する日」なのです。この日本式バレンタインデーはいつ頃、どのようにして生まれて定着したのでしょうか? また、なぜ「チョコレート」を贈ることになったのでしょうか? 日本のバレンタイン事情を通じて、あなたも今ドキの日本人マインドやリアルな日本文化を垣間見てください! 目次
「日本式バレンタインデー」はどうやって生まれた?
さらに進化した日本のバレンタイン事情
日本のチョコレートのトレンド
まとめ
1. 「日本式バレンタインデー」はどうやって生まれた?
↑ ところ変わればバレンタインデーも変わる?
もともとキリスト教の逸話に基づく西洋の風習であるバレンタインデー。欧米のバレンタインデーでは、恋人や夫婦、家族などがお互いにプレゼントを贈り、感謝の気持ちと愛情を伝えるのが一般的。また、プレゼントもチョコレートがメインかつ定番というわけではなく、メッセージカードや花束、ジュエリーなどのギフトがメインで、チョコレートはあくまでも添え物です。
それでは、「女性から男性へチョコレートを贈る」という日本独自バレンタインの風習がいつ頃、どのようにして始まったか紐解いていきます。
諸説ありますが、神戸の洋菓子メーカー「モロゾフ」(名前は共同経営者のロシア人の名前から)が、1932年に日本で初めて「バレンタインデーに チョコレートを贈る」スタイルを紹介したことがわかっています。翌年には外国人向け英字新聞にバレンタインデー向けチョコレートの広告=写真下=も掲載されています。
←当時がしのばれるクラシックな広告(写真提供:モロゾフ株式会社)
一方、「女性から男性に贈る」方式が定着していったのは、1960年代に入ってから。1959年にチョコレート製造会社のメリーがハート型のチョコレートを発売して注目を集め、バレンタインデーの認知度がアップ。そもそも女性がイニシアチブをとって男性に告白することがレアな日本において、キャッチコピーの「1年に1度、女性から男性に愛を告白できる日」は、当時の女性たちの心を鷲づかみしました。
というのも、日本人は欧米の人たちに比べ、とてもシャイな民族。今でこそ、「女性から男性へ告白」は珍しくなくなりましたが、当時「女性から男性へ思いを告げること」は、とても勇気のいる行為で、その告白の後押しにこの「バレンタイン戦略」がまんまとハマったというわけです。多くの菓子メーカー社が「バレンタイデーにチョコレート」の販売戦略を進め、1970年代にはティーンエイジャーから主婦層まで浸透しました。
↑ 日本のバレンタインデーの先駆け「モロゾフ」の2022年バレンタイン商品
このように、日本式バレンタインデーは、海外の目新しいバレンタインデーの風習
を日本に取り入れることで販売促進を狙う流通業界や製菓業界が生み出したもの。さらに、宗教的なしがらみが少ない日本だからこそ、独自路線のバレンタインデー文化が育ったとも言えます。
2. さらに進化した日本のバレンタイン事情
さらに、バレンタインデーが定着するに従い、1980年代ごろから日本ではあげる人ともらう人の関係によって変わるバレンタインチョコの種類(呼び名)が生まれました。日本ではバレンタインデーが近づくと、「本命チョコは手作りで」「義理チョコの予算はいくら?」「ご褒美チョコのために行列に並んだ」などの会話が女性間で飛び交います。 本命チョコ 女性が男性に愛情の告白として贈るチョコレートのこと。もしくは恋人同士(もしくは夫婦)の女性から相手に贈るチョコ。本命とは「真のターゲット」のこと。
義理チョコ 好意を寄せているわけではないけれど、「付き合い上の儀礼的な意味=義理」として友人男性やお世話になっている職場の男性に贈るチョコレートのこと。1980年のバブルと呼ばれる好景気の影響も受けて盛んになりました。最近では、コロナ禍によるテレワークが増えたこと、職場でのコンプライアンス意識の高まりで減っています。
友チョコ 同性同士(主に女性間)で贈り合うチョコレートのこと。友達同士で贈り合って楽しむ友チョコの人気が2000年以降、高まりました。
ご褒美チョコ 自分で自分のために購入して楽しむチョコレートのこと。いつも頑張っている自分へのご褒美としてちょっと贅沢なチョコを買って楽しむ近年のトレンドです。 こうして、あげる相手によって、心配りが変わると言うのも、日本ならではの細やかな気配りがある証拠?また名称を変えるなんて、遊び心が出ていると思いませんか?
3. 日本のチョコレートのトレンド
↑今年のチョコには、 柚子や流行中のピスタチオが登場!
日本のチョコレートのトレンドですが、やはり「SNS上で映える」チョコレートが相変わらず話題。おしゃれでフォトジェニックさを重視するティーンエイジャーや20代女性に顕著な傾向です。宝石そっくりに仕上げられたトリュフや人気キャラクターを型どったもの、キュートなデザインで食後も小物入れなどにして使えるパッケージや限定版の装飾缶入りも人気です。老舗料亭や茶屋が手がける抹茶、ほうじ茶や日本酒、梅酒、ゆず、ごま風味など、和を取り入れたチョコは大人の女性に選ばれています。
↑ メリー社の戦国時代に活躍した英雄たちがテーマ「TSUWAMONO(つわもの)」
チョコ。パッケージの墨絵も美しい!(www.mary.co.jp)
↑ 抹茶生チョコは鮮やかな緑と爽やかな苦味がチョコとマッチ
↑ あんこx チョコ!コーティングしたチョコどら焼きは甘党にはたまりません!
また、健康を意識する人が増えている流れは、チョコレートにも反映。特に抗酸化力が強いカカオポリフェノールを多く含むハイカカオ(カカオ70%以上)、カカオ豆からチョコレートに仕上げるまでの工程を一貫して行う「Bean to BAR」など、素材にこだわったチョコレートを購入する人が増加中。
↑ 素材を厳選した「Bean to BAR」の出店が日本で増加
↑ コロナの影響もあって、お家でバレンタインデーを過ごすカップルも増えそう
4. まとめ
女性が男性にチョコを贈る日本式バレンタインデー、あなたはどう感じましたか?
あげる相手によってチョコを使い分けると知って、ビックリしましたか?
日本では、チョコレートの年間消費量の約20%がバレンタイデーのために消費されるそう。チョコレートの販売促進という背景から生まれた日本のバレンタインですが、それでもロマンティックで特別な日には変わりありません。さらに、バレンタインデーの1か月後の3月14日は、男性から女性にお返しを贈る「ホワイトデー」もあります。3月に入るとクッキーやキャンディー、マカロンなどのお返しの買い出しに奔走する男性の姿が見られます。
今回はチョコレートに特化して日本のスイーツ事情をお届けしましたが、ヘルシーでフォトジェニックな日本のスイーツを学びたいという方が増えています。
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