「豆で鬼退治!?」ユニークな風習と行事食
上の写真は、毎年2月初旬の「節分」に行われる京都・八坂神社の「豆まき」の様子です。「節分」は「春が始まる日の前日」のことで、翌日からは新たな四季の巡り(1年)が始まります。芸妓と歌舞伎役者が大勢の人に向かって投げているのは、煎り大豆が入った小袋。大勢の観衆がそれをキャッチしようと待ち構えています。福と春を呼び込む日本の伝統行事として大切にされている「節分」と「豆まき」の由来、それにまつわるユニークな行事食を紹介します。 目次
「節分」の由来や意味とは?
鬼を退治する「豆まき」って何?
豆まきの手順とルール
節分に無言で食べる「恵方巻き」
まとめ
1.「 節分」の由来や意味とは?
「節分」とは、「節(季節)」の「分かれ目」のこと。本来は春夏秋冬ごとに4つの節分があったのですが、現在は春の始まりとされる日「立春(例年2月4日頃)」の前日を「節分」と呼びます。2022年の節分は例年通り2月3日です。1984年に2月4日が節分になって以降、2月3日の節分が続いていましたが、2021年に2月2日となって話題となりました。2025年も節分が2月2日になります。
春夏秋冬の順で1年が周回していると考えると、冬と春の季節の変わり目の前日に当たる「節分」は、1年の最後の日。立春は新しい年の始まりですので、その前日の節分に厄を払う豆まきなどの行事が行われているのです。
2. 鬼を退治する「豆まき」って何?
さて、「豆まき」はどのようにして始まったのでしょうか?
あなたは季節の変わり目に体調を崩しがちではありませんか?節分に行う「豆まき」は、季節の節目に起こりやすい体調不良や災いを「鬼」に見立て、それを追い払う儀式です。 もともと宮中で節分に行われていた「追儺(ついな=難を追い払う)」の儀式が一般庶民に広まり、定着しました。
日本には「鬼」にまつわるさまざまな伝説や言い伝えがありますが、そもそも、鬼を生み出したのは人間自身とも言えます。私たちは病気や災害、事故、飢餓などの目に見えず、説明のつけられない恐れの原因を「鬼の仕業」として言い習わして来ました。人間の恐怖、不安などを具現化した存在が、角(つの)と牙(きば)を持つ鬼なのです。また、鬼は夜にやってくると信じられていたため、豆まきは(寺社などのイベントでは、昼間に行うところがほとんど)夜に行います。
豆まきに使う豆は「福豆」と呼ばれます。古来から日本では、米、豆などの穀物には霊力が宿ると考えられいました。大豆を煎って四角い桝(ます)に入れ、神棚にお供えすることで、神様の力を得て邪気を払える「福豆」になるのです。福豆を食べることで神様のパワーを得られるため、寺社などの豆まきでは投げられる福豆を手に入れるために大勢の人々が集まります。
↑ 京都・護王神社の鬼たち。記念撮影にも応じてくれる優しい鬼だそうです。
3. 豆まきの手順とルール
それでは、豆まきの手順やルールを説明します。本来、豆まきを行うのは「年男」とされています。年男とは、その年の干支(えと、古代の中国で数字の代わりに暦や日付、時間、方向などを表すのに使われ、1から12の数に対し、12種類の動物の名があてられたもの)に生まれた男性を年男といいます。例えば2022年は干支に換算すると「寅年」なので、寅年生まれの男性(12歳、24歳など12の倍数の年齢)が年男となります。上記の写真で境内に並んでいる男性たちが年男です。なお、寺社などの豆まき行事では年男だけでなく、年女も加わることもあります。なお、家庭で豆まきを行う場合は、特に年男にこだわらず、家族揃って豆をまきます。
豆まきの手順は以下の通りです。
①日暮れまでに福豆を準備します。
②鬼が家に入り込むのを防ぐため、柊(ひいらぎ)の小枝に焼いたイワシの頭をさした「鰯柊(いわしひいらぎ)」を門や玄関に飾ります。鬼は福豆だけでなく、その棘で鬼の目を刺すと言われる柊と、焼いた煙の臭いがするイワシが大の苦手とされているからです。
③午後8~10時ごろに行います。玄関、ベランダ、窓などを開け放しておきます。
④年男は福豆を持って玄関から各部屋を回ります。出入口で「鬼は外、福は内」と2回ずつ言って豆をまきます。
⑤豆をまき終えたら直ぐ戸締りします。鬼を締め出して、福を逃さない意味合いがあります。
⑥豆まき終了後には、家族全員で福豆を食べます。別名「年取り豆」と呼ばれ、自分の年齢、または年齢の数プラス1粒だけ食べるのがルールです。その数だけ福が来ると言われています。
↑ 焼いたイワシの頭をヒイラギの枝に刺した「鰯柊(いわしひいらぎ)」
↑ 玄関の軒下に飾られた「鰯柊」
4. 節分に無言で食べる「恵方(えほう)巻き」
節分に食べる太巻き寿司が「恵方巻」です。節分の夜にその年の恵方(幸運を呼ぶ方向)を向いて食べることで、商売繁盛や無病息災を祈願する関西発の行事食です。七福神(日本で幸福をもたらすと信仰されている七柱の神)にちなみ、種類に決まりはないものの、具材7種を巻き上げた太巻きです。なんと、包丁で切らずに端からまるかじりする、食べ終わるまで終始無言を守るのが、願いが叶うための決まり。もともとは江戸時代末期頃、関西を中心に流行した風習で、最近では商業化の波にのり、コンビニでも販売されるほど全国に普及しています。
また、昆布の佃煮か塩昆布、梅干し1粒、福豆3粒をカップに入れて熱湯を注いで作る「福茶」=イメージ下=も節分に味わいます。福豆は吉数と言われる3粒、梅干しは冬に咲き、香り高く、邪を払う梅の実として、昆布(こぶとも呼ばれる)は日本語の「よろこぶ」に意味を重ねています。煎り豆の香ばしさと梅干しの塩気と酸味、昆布の旨味が味わえるお茶です。恵方巻と一緒にいただくと、より運気がアップするかも?
5. まとめ
日本の家庭での豆まきは、上の写真のようにお面をかぶった鬼役に「豆を投げてやっつける真似をします。和気あいあい、季節の行事を家族で楽しむのは、日本の文化を次の世代に伝えるためにも大切。恵方巻きを食べる風習が広まったことにより、以前より節分を意識する人が増えていて、「食」には文化風習を未来に繋げる点においても、影響力が大きいと感じずにはいられません。
春の始まりを告げる節分は、お正月に続き、新たな年が始まるセカンドチャンスの意味合いもあります。お正月に設定した今年の目標がどうなっているかを見直す絶好の機会です。
和食のプロを目指したい。
既存のレストランをグレードアップしたい。
もっと和食メニューを増やしたい。
新しい日本食のトレンドを学びたい。
もしまだアクションを起こしていなかったら、この機会に一歩前に踏み出してみませんか?
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